Explain Painコースは、オーストラリアの理学療法士そして研究・教育者であり長年神経系への徒手的アプローチを通して、人の痛みと向き合ってきたDavid Butler博士を中心としたNeuro Orthopaedic Institute (NOI)によって世界中で開催されているセミナーです。
このセミナーは最新の疼痛学をベースに、それらの知識をどのようにして臨床現場に活用するかということを目的にデザインをされています。
痛みを含めた人の身体そして心の様々な症状の改善に必要な知識が詰まっています。
BPSモデルとは 、「人の健康状態とは身体的、心理的、そして社会的要素がそれぞれ同等の比重を持って影響し、複雑に絡み合うことによって作り出されている」という考え方に基づいた医療アプローチの考え方です。
現在までの医療、健康産業はバイオメディカルモデルと呼ばれる「1つの病気には基本的に特定の原因が存在し、それが物理・化学的な因果関係の結果として特定の病気を引き起こす。」という考え方が主流となっています。しかし生活習慣病や慢性痛、様々なメンタルヘルスの問題、そして多くの免疫疾患や自律神経疾患などの原因のわからない疾病などは、単一の原因物質や直線的な因果関係が存在することはむしろ珍しいことであり、身体的・心理的・社会的な無数の要因が複雑に絡み合った結果として起こるものだということがわかってきています。
Explain Painコースでは、痛みを題材にこのBPSモデルを活用した新たな臨床アプローチを学んでいただくことができます。
心理面が大事とわかっているけど、なかなか現場でどういったアプローチをすれば良いかわからない。
一度治ってもまた痛みや症状を繰り返してしまう。
毎回、痛みや症状が変化する。
そういった臨床において我々がぶつかる様々な壁に対して、臨床と研究による的確な情報と共に現代の医療的アプローチを基に新たな視点とヒントをもたらしてくれるプログラムです。
日時
2024年11月3日(日)、4日(月祝) 両日とも午前9時~午後5時(昼休憩1時間)
場所
ぜんしん整形外科
〒190-0012 東京都立川市曙町2-11-2 フロム中武7階
アクセス
オンラインフォローアップ勉強会 2024年11月末頃予定
セミナー終了後に復習ビデオ配信&オンラインフォローアップ勉強会を開催します。
受講者の皆様全員に、セミナー終了後にNOI本部の講師であるTim Cocks(ティム・コックス)氏が作成した、NOI Explainをまとめた学習ビデオを30日間配信させていただきます。復習にお使いください。またセミナー終了から約1ヶ月後に「NOI Explain Painフォローアップ勉強会」をZoomオンラインにて行いますので、2日間のセミナーや学習ビデオで出てきたご質問や、臨床等で実践される中で感じられる変化、お悩み等を共有させていただいて、NOI Explain Painをより深く理解できるような時間をもち、皆様それぞれの職場環境の中でNOI Explain Painをどう生かしていくかを探求したいと思います。
こちらのセミナーは定員に達しましたので募集終了とさせていただきます。
こちらのセミナーは定員に達しましたので募集終了とさせていただきます。
こちらのセミナーは定員に達しましたので募集終了とさせていただきます。
「医師として、整形外科医として、これまで痛みの仕組みを学んだことはありませんでした、またはそこに興味を持つことがありませんでした。このため私の知識は、痛覚と侵害受容の認識が混在して、デカルト時代の知識で止まっていました。NOIのセミナーを通じて最も有益だったことは、痛みの仕組みを学ぶことで臨床の場において患者さんの痛みへの理解が容易になったこと、それによって患者さんへの説明も容易になったことです。治療方針を決める際にも、痛みへのアプローチが変わることで、治療を無理なく勧められるようになりました。運動器治療に携わる全ての人が、このコンセプトを理解し、患者さんに共通の説明や教育ができるような未来が来ることを願っています。」
整形外科医 朱田尚徳
「私は膝関節外科医として、長年、痛みの治療に携わってきました。今まで数多くの画像検査、注射治療、手術治療をおこなってきました。診療を通じて、画像検査では描出されない痛みがあることを知り、注射や手術では治せない痛みがあることを、患者さんから教わりました。
体外衝撃波、PRP療法、ハイドロリリース、運動器カテーテル治療など、増えつつある最新の治療も積極的に取り入れ、さらに理学療法士から運動療法を教わり、アスレティックトレーナーから補強トレーニングなど、保存療法も積極的に学びました。
様々な治療の幅を増やしましたが、それでも治療がうまく行かないケースがあり、そのたびに壁にぶつかってきました。痛みの中でも慢性疼痛は、いまだに診断も治療も非常に複雑で難しく、ケースバイケースで混沌としています。
そんな中、信頼する理学療法士から、”Explain pain”の考え方を教わりました。私が壁にぶつかりながら、もがいていた疼痛学が、しっかりと体系的にまとめ上げられており、本当に驚きました。
痛みの多様性を知ることで、痛みに苦しむ患者さんへの接し方は大きく変化します。いつもの診療より、少し自信を持って、慢性疼痛に向き合えるようになると思います。 ”Explain pain”は痛みの治療に関わる全員が、職種によらず、必ず学ぶべき学問だと思います。
それでも全ての慢性疼痛が解決できるわけではありません。私は医師ですので、”Explain pain”で説明されるBPSモデルの中でもBiomedicalな側面から慢性疼痛に対する理解をさらに深く堀りさげ、疼痛学をより成熟させ、慢性疼痛にこれからも立ち向かっていきたいと思います。」
八王子スポーツ整形外科 医長 山口徹
「現在、医師として医療現場にヨーガとアーユルヴェーダなどの統合医療の視点を導入する ことを仕事としております。慢性疼痛は、臨床現場では非常に多い症状で、かつ治療に難渋 することが多いため、この講座はとても興味がありました。 痛みを感じる様々なメカニズムと、それを増強する因子、そして各々の発生要因に応じた対 処法と注意点が網羅されており、医師としても新しい知識の取得と既存の知識の統合が出 来る内容で、大満足でした。
日々の臨床現場において、慢性的な疼痛の根本的な改善には、現代医療だけでなく、セラピ ーとしてのヨーガやアーユルヴェーダの知識が非常に役立つと感じておりました。今回、生 物・心理・社会的な枠組みで痛みを捉えると、ヨーガとアーユルヴェーダがなぜ疼痛緩和に 役立つかが見えてくることに気づき、その応用にもつながると感じました。
疼痛に関する知識以外に、学びの効果を最大限に引き出す工夫が沢山盛り込まれていたこ とも、私にとっては大きな収穫でした。 知識を与えるだけでなく、最大限の学びを提供するにはどうしたらいいのかが練られてお り、要所要所で学んだことを振り返り、まとめ、アウトプットすることでインプットにつな げる、という学び方の基本を教えていただけたことは、大変貴重な機会でした。 自分が学ぶために大変参考になるだけでなく、臨床家や講師として学びを提供する際に、知 識や情報・アドバイスをどのように伝えたら受け取ってもらえるか、相手の知識として定着 するかを知ることは、実践として大変役立ちます。
テキストの充実度も素晴らしい!準備にどれだけの時間と労力をかけてこられたのかが伝 わってきて、本当に満足度の高い講座でした。 テキストを見直していたら、再受講したくなってきました。 この感想が、受講を検討されているあなたの参考になれば幸いです。」
医師、医学博士、ヨーガ講師 齊藤素子
「痛みやその他の身体の不快感を訴え続けたり,再発への不安からチャレンジが難しくなっている等の課題が残る患者さんへの対応について,臨床で悩むことが多くありました。すでにExplain Painを勉強されていた方からセミナーの内容を伺い,今回受講を決めました。受講した感想は...受講して本当に良かった!です。セミナー後,問診や会話の進め方,そのなかでの言葉の選び方にもより注意を向けるようになりました。また,患者さんに痛みを訴えられると一緒に拘り続けてしまう自分の思考の癖に気付けたことも,私にとっては大きな収穫でした。
事前学習用の動画によって,情報を一気に詰め込む形ではなく,時間をかけて学ぶことができました。お陰でセミナー当日の講義が,さらに理解しやすかったように感じています。
声をかけてくださった中本さん,セミナーを企画・運営してくださったみなさま,ありがとうございました。」
理学療法士 石井美和子
「介護現場で働く介護従事者や、日々ご家族の介護とお仕事などを頑張っていらっしゃる介護家族の方に 介護事業所職員として、またヨガインストラクターとして 直接のアプローチ、メンタル面へのサポート、自宅生活での助言など、 出来ることを身に付けたいと思ったのが受講しようと思ったきっかけでした。 受講してみて中身の濃い動画の事前学習や講義内容の全てを理解できたわけではありませんが、 痛みの分類、痛みと侵害受容器の考え方、 特にBPSの考え方を学べたことは大きく、 講義受講後は、患部の症状だけではなく、自宅での家族・対人関係や、その方達との会話からどんな気持ちになったか、どんな会話をしているのか、またはしていないのかなどをヒアリングすることを現場で実践しています。 職員や利用者同士が交流し、活動を共にすることで、朝の痛みが夕方にはなくなっていることが多く、「気持ちの問題」と思っている職員もいましたが、利用者様と一緒に気持ちの整理をしていくことで、痛みや物事への捉え方が変わっている方も出てきています。 「歳だから」と同じように「痛いからできない」を理由に人に頼りたい方もいるため、痛いことを手放せない方もいます。 痛みとの付き合い方や捉え方を一緒に整理する時間をかけて共有することも大切だと実感しています。それに気づけたこと、そして具体的に現場で意識できることを学べたことはとてもよかったと思っています。」
社会福祉士・介護福祉士・介護職員(運動指導) 清水雄太
「私はアスレティックトレーナーの資格を有し、普段はコンディショニングセンターで勤務をしております。 クライアントの中には痛みを抱えるクライアントも多く、医療と連携の上、コンディショニングを行ってきました。 クライアントの経過を見るとコンディショニングで良くなることもあれば、日によって痛みが違うことに気づかれさます。 ある脊柱管狭窄症を患っているクライアントがおりました。 オペ後、症状の改善がなく私達の施設を訪れたのです。 症状改善のために日々フィジカルコンディショニングに励んでおりました。 ある日そのクライアントが長期休暇でヨーロッパに旅行に行くことがありました。 私は長期間トレーナーの手を離れ、コンディショニングできないことで症状の悪化を懸念しました。 ヨーロッパから帰国後、「カラダの調子はいかがですか?」とお聞きすると、 「すごく良いですね!仕事のストレスがなく、痛みもなかったですよ!!」と仰いました。 その時の衝撃は今でも覚えています。 「痛みを理解することは本当に難しいな」、そんな時にExplain Painのセミナーに出会いました。 セミナーを受講する中で、私は、「どこどこが痛いは、この動作が悪いからだ」とバイオメディカルな枠組みでしか痛みを考えていなかったことに気づかされました。 痛みを生物、心理、社会的な観点から考えるようになりました。 また痛みというものは何であるか、痛みをどう理解するかも深く学ぶことができました。 上記を学べたことで私に起きた変化は、クライアントにより耳を傾けるようになりました。 なぜその人が「痛み」というアウトプットを作り出しているのか、その人をより理解し、痛みについて説明できるようになりました。 多くの方が相談に来た後に笑顔で安心した表情で帰ってくださるようになりました。 今でも多くの方が痛みに悩まされ、ライフパフォーマンスが低下しています。 職種に関係なく痛みを理解し、それを説明できるようになることで人生が大きく変わると思っております。 是非1人でも多くの方にこの考えが広がることを願っております。」
株式会社R-body Project コンディショニングコーチ 荒井秀幸
「まず私はすでにBPSと同じような考え方を歯科臨床、また痛みの臨床に以前から活用しています。やっと同じ考えを持った人たちに会えた感じです。
『EXPLAIN PAIN』の考えは、本来医療の中でも扱われるべきカテゴリーです。
歯科医師の私が言うのもなんですが、特に歯科医師には必要な考え方です。
自覚はありませんが、多くの歯科医師は話を聞くことがヘタ。問診が下手なのです。
それは歯科疾患の多くは「見える」からです。
歯が欠けている、歯が無い、歯がグラグラしている、歯肉が腫れている、出血するといったように、見える訴えに対して、歯科医師は適切な処置ができるのです。
だから、その症状の背景を知るというような必要性を感じる機会が少ないのです。
しかし、見えない訴えも少なくありません。
それは原因不明の痛みです。検査でも異常が見つからず、原因が見えません。
そんな時、痛みの原因を医学的にしか診断できなければ、削ったり抜いたり、するべきではない治療をしてしまいます。(これは歯科医師に限らず、です。)
今回の講義のテーマである、痛みの原因を病気としてだけではなく、人・社会・地球にまで広げ、複雑多様であることを知る。これが歯科医師にとって大切なことであり、必要なことです。複雑性・多様性という考えが頭の中の引き出しにあれば、するべきこと、するべきではないことが見えてくるでしょう。
痛みの原因が複雑多様であるということは、改善方法もひとつではなく、さまざまな方向からのアプローチができるという教育をすることもできますね。
歯科医師は見た目の改善だけではなく、そんな手段を知るべきだと思います。
私の臨床では、このBPS的な考えのもとで、「複雑多様」が人間の何に影響しているのかを見つけ出し、そこへのアプローチをすることで結果を出しています。
結局、施術側も患者側も望むところはシンプル。その人の中での変化、人とのつながりの中で、社会の中で、環境の中での“生理的な変化”を知ることで、このコンプレックスはもっとシンプルに解決できます。」
歯科医師 岡田哲也
SASS Japan
seminar@sass-japan.com
担当者:山田幸一